アルゼンチンへと出稼ぎに行った母からの消息が途絶えた。母に会いたい一心で、長く苦しい旅に出ることになる。マルコは持ち前の明るい性格と旅の途中で出会う人たちに支えられ、ついに母との再会を果たす。マルコと母の再会は涙なしでは語ることのできない世界名作劇場の中でも指折りの名シーンだ。私は今母を訪ねて銀座一丁目を歩いている。
有名な「銀座の母」は知っているだろう。銀座一丁目にも「銀座一丁目の母」が存在することをあなたは知っているだろうか。「銀座の母」に紛れながらもgoogle検索の下の方に確かに存在するのだ。ネット社会でなんでもわかるこの時代で、こんなにも不確かなものがあるのだろうか。橋の下にいた、カラオケ屋の前にいた等どこにでも現れるという噂がある。神出鬼没、そんな言葉が彼女には似合うだろう。彼女はどんな言葉で、私の人生を語るのだろうか。
母に会いたいと思い歩く私はマルコのようなものだろう。「母を尋ねて三千里」のような私の冒険はまだ始まったばかりだ。町一つとっても知らないことがあふれている。自分で書いていて打ち切り漫画の最後のような終わり方だが、探しに行きたいと思う。そう、銀座一丁目の母がいるかどうかについては信じるか信じないかはあなた次第。