高橋和己の『酒と雪と病』の中でこんな一節がある。
「いいお酒ですな」と感心されるような飲み方が案外静かな絶望の表現であったりする。
いいお酒とは言えないかもしれないが、友人と共に朝まで夢を語り、泣いて、吐くようなうるさい飲み方は若いころしか出来ない。
そこにある美しさはどこからくるのか。謎である。
東京では28度を超えるような猛暑が連日続いている。
大雨、雷からカンカン照りというのも体がついていかないので、実にやめて頂きたいところだが「夏が来た」というところだろう。
今年はついに五輪が開かれる。賛成反対の意見がいまだに割れる前代未聞の五輪だが、ついに今週から開催されるわけだ。
オリンピックムードというわけでもなくサラリーマンたちにとっては休みが出来たことが五輪様様というところか。
今夏は自粛しながらオリンピックを眺めつつキンキンに冷えたビールを啜っているのが一番だろう。
リモート飲み会と称して友人とオリンピックを実況するのもまた面白いのかもしれない。
新たな楽しみ方を模索することの楽しさに奔走することになりそうだ。
「静かな五輪ですな」というのが高橋の言葉を引用すれば、案外絶望の表現だったりするのだろうか。